あいのきせきとは

一本の線が、心に軌跡を刻む。
声にならない「わかった!」や「好き」が、聞こえてくる。

あいの実の『あいのきせき』へ、ようこそ。

話せない、動けない――医療的ケアのある人たちの「目」がとらえた世界。その視線がたどった一本の線が、やがて作品となり、誰かの心に小さな貴石を灯します。

医療的ケア児・者、重症心身障害のある人たちについて

このサイトで作品をつくっているのは、重い障害とともに生きる人たち ―― 医療的ケア児・者や、重症心身障害のある人たちです。

重症心身障害とは、重い身体の障害(肢体不自由)と知的の障害が重なっている状態をいいます。生まれつき、あるいは病気や事故などをきっかけに、自分の力で身体を動かすことや姿勢を保つことがむずかしい方が多くいます。声に出して話すことや、表情・身ぶりで気持ちを伝えることも、簡単ではありません。呼吸や栄養のために、日常的な医療的ケア(たんの吸引や経管栄養など)を必要とする方もいます。

けれど、身体が思うように動かないことと、心が動いていないことは、まったく別のことです。うれしい、楽しい、いやだ、もっと知りたい ―― そうした豊かな気持ちは、たしかにそこにあります。ただ、それを外に伝える「手段」が、限られているだけなのです。

視線入力やスイッチといった技術は、その「伝える手段」をひとつ増やす試みです。目の動きやわずかな身体の動きが、線になり、色になり、作品になる。それは、これまで見えにくかった「その人の世界」が、はじめて目に見える形であらわれた瞬間でもあります。

「あいのきせき」という名前

「あいのきせき」には、6つの願いが重なっています。

あい

  • 愛 ― 「人からしてほしいと思うことを、人にする」という法人理念の土台。
  • 眼 ― 医療的ケア児・者の目がとらえた、まだ誰も見たことのない世界。
  • 逢 ― その世界が、新しい出会いへとひらいてゆくこと。

きせき

  • 軌跡 ― 視線が描いた一本の線。挑戦と試行錯誤の記録。
  • 貴石 ― 重なり合う軌跡が、誰かの尊い想いで磨かれ、貴石となること。
  • 奇跡 ― ある瞬間、それが奇跡のように立ち上がること。

THE ART OF GAZE, conversely THE GAZE TOWARDS ART.
視線がうみだす芸術、そして芸術へとそそがれる視線。

歩み

「あいのきせき」は、ひとつの言葉が生まれるまでに、いくつもの軌跡を重ねてきました。

はじまりは、アートブックとアートカレンダー。

視線入力が残した軌跡を療育データから抽出し、鑑賞に堪える一冊の作品へと昇華させました。完成したアートブックは病院や学校へ寄贈され、新たな出会いと共感の輪を広げてきました。やがてその一枚は、リコークリエイティブサービス株式会社の手によって、リコーグループ向けカレンダーの一商品として社会へひらかれていきます。

そして、生活介護プロジェクト。

厚生労働省の助成を受け、生活介護における生涯学習の取り組み(特別支援学校卒業後の生活介護利用モデルの作成事業)を進めました。

その成果報告の場で、「あいのきせき」という言葉が生まれました。

作品名でも事業名でもなく、これまでの取り組み全体を束ねる旗印として。

わたしたちの理念

社会福祉法人あいの実は、仙台市泉区を拠点に、児童発達支援、放課後等デイサービス、生活介護、居宅介護、重度訪問介護、医療型ショートステイなど、医療的ケア児・者とそのご家族に寄り添う事業を行っています。

法人理念は、「人からしてほしいと思うことを、人にする」。「愛」を土台に、医療的ケア児・者の「目」がとらえた世界を尊び、出会いの「逢」がひらく可能性を信じて歩んでいます。

ともにつくる人々

「あいのきせき」は、多くの想いが連なって立ち上がりました。

  • 挑戦をつづける医療的ケア児・者と、そのご家族
  • 日々の療育を支えるスタッフ
  • 伊藤史人先生(岩手県立大学ソフトウェア情報学部 講師)― 視線入力訓練アプリ『EyeMoT(アイモット)』を開発。会場の多くの作品は EyeMoT を用いて制作されました。
  • 株式会社GEAR ― 視線入力装置「Hiru」と連携する専用お絵かきアプリの研究開発
  • バンビグラフィックス 阿部守健 ― アートブック等のデザイン
  • 清水芸術基金 ― アートブック作成の助成
  • リコークリエイティブサービス株式会社 ― アートカレンダーの商品化

今日の出会いが、あなたの人生にも新しい「あいのきせき」を刻みますように。